膠原病リウマチ内科

膠原病とは?
「膠原病」は、真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する蛋白質であるコラーゲンに全身的に障害・炎症を生じる様々な疾患の総称です。関節リウマチは代表的な膠原病ですが、関節リウマチ単独でその他の膠原病すべて合わせたよりも患者数が多いこと、その他の膠原病に比べると皮膚・内臓病変が少なく、関節症状が主体になることから他の膠原病とは区別されることが多いです。

リウマチとはどんな病気?
関節や関節の周囲の骨、腱、筋肉などに痛みが起きる病気をまとめてリウマチ性疾患とか単にリウマチと呼びます。医療界でリウマチといえば「関節リウマチ」のことを指しています。「関節リウマチ」はリウマチの中でも加齢や心理的ストレスと関係の深い変形性関節症と肩を並べて患者数が多いです。

関節リウマチは、どんな病気ですか?
関節リウマチ(以下「リウマチ」)は、免疫の異常により、主に手足の関節が腫れたり痛んだりする病気です。進行すると、骨や軟骨が壊れて関節が動かせなくなり、日常生活が大きく制限されます。
また、炎症は関節だけでなく、目や肺などの全身に拡がることもあります。
リウマチのかかり始めには、熱っぽい、からだがだるい、食欲がないなどの症状が続いたり、朝方に関節の周囲がこわばることが多いです。小さな関節が腫れ、やがて手首やひじ、肩、足首やひざ、股関節など全身の関節に拡がっていきます。(例外もあります)

原因は何ですか?
人のからだには、細菌やウイルスなどの外敵から身体を守る免疫があります。この免疫が異常を起こし、関節を守る組織や骨、軟骨を外敵とみなして攻撃し、壊してしまうのがリウマチです。
こうした病気は”自己免疫疾患”とよばれ、体質的にかかりやすい人が何らかの原因によって発症すると考えられています。その原因は、まだよく解っていませんが、細菌やウイルスの感染、過労やストレス、出産やけがなどをきっかけに発症することがあります。なお、喫煙や歯周病は発症や増悪の危険因子です。
遺伝性は一般にそれほど強くないようです。

どんな人がかかりやすいのですか?
日本のリウマチ患者の数は、70万人とも100万人とも言われ、毎年約1万5000人が発症しています。全人口から見た割合は0.5~1.0%で、この割合は海外でもほぼ同じとされており、地域による大きな差はありません。

年齢別にみると、30~50歳代で発症した人が多く、男女比では人口1000人あたり女性5.4人、男性1.1人と、女性に起こりやすい病気でもあります。

どんな症状がみられますか?
1)全身に起こる症状
リウマチには活発に悪さをする時期(活動期)とそうでない時期(非活動期)があり、活動期には、からだのあちこちに症状が出やすくなります。微熱、体重減少、貧血、リンパ節の腫れなどのほか、目や口が乾いたり、息切れ、だるさ、疲れを感じることもあります。

2)関節に起こる症状
①朝のこわばり
リウマチに特徴的な症状です。からだや関節周囲、特に手のこわばりが、特に朝に強く現れます。リウマチが悪いと長く続きます。
②関節炎
関節は熱っぽくなって腫れますが、赤く腫れることはまれで、動かすと痛みが強くなります。こうした関節炎は、手首や手の指の付け根、PIP関節、足の指の付け根などの小さな関節のほか、足首、肩、肘、膝、股関節などの関節に起こることもあります。左右対称に起こったり、あちこちに移動するのが特徴です。非対称性のことも少なくありません。
③関節水症(かんせつすいしょう)
関節が炎症を起こすと、関節の中にある液が大量にたまることがあり、この状態を関節水症とよびます。これが膝関節に起こると、膝のお皿の周りが腫れたり、膝の裏側が袋状にふくらみます。
④腱鞘炎(けんしょうえん)
腱は手や足の筋肉が骨に付着するところにあり、腱鞘という刀の鞘のような組織でくるまれています。腱もしくは腱鞘に炎症が起こると、腫れて指などの動きが悪くなります。いわゆる「ばね指」は、腫れた腱が腱鞘の中を引っかかりながら動くことで、指がばねのように弾みます。しかし、「ばね指」は関節リウマチの特徴という訳ではありません。
⑤滑液包炎(かつえきほうえん)
滑液包は、関節の周囲にある袋状の組織で、関節の摩擦を減らすゼリー状の滑液が入っています。ここに炎症が起こると、さらに滑液がたまって腫れ、痛みます。滑液包炎は、肘や足関節、膝の前面によくみられます。
⑥関節変形
リウマチが進行すると、関節が破壊され、筋肉も萎縮するなどして、関節が変形します。外反母趾のような形や、手足の指が外側を向いたり反り返ったりなど独特の形状がみられ、これらは総じてリウマチ変形と呼ばれます。

3)関節以外に起こる症状
①リウマトイド結節(けっせつ)
ひじやひざなどにできやすく、大きさは米粒大から大豆程度までさまざまですが、痛みはありません。
②肺障害
リウマチでは、肺に障害が現れることがあります。リウマチ肺とよばれる間質性肺炎(かんしつせいはいえん)や肺線維症は、症状として息切れや空咳などがみられます。また、肺に水がたまる胸膜炎(きょうまくえん)が起こることもあります。なお、リウマチの治療薬や感染症でも肺障害を起こすことがあるので、その原因についてよく調べることが重要です。
③悪性関節リウマチ
リウマチでは、まれに血管に炎症が起こって症状が重くなることがあり、このような状態を悪性関節リウマチとよびます。太い血管の炎症では、心筋梗塞や間質性肺炎、腸間膜動脈血栓症などを起こします。手足の細い血管の炎症では、皮膚潰瘍や神経炎などを起こします。
④二次性アミロイドーシス
リウマチの強い炎症が長く続くと、アミロイドというタンパク質がからだのあちこちにたまるようになります。アミロイドが腸管にたまって下痢を起こしたり、心臓にたまると心不全、腎臓では腎不全の原因になります。

こうした症状を起こす前に、適切な治療を受けることが大切です。

関節の症状はどのように起こるのですか?
1)最初は滑膜組織に炎症が起こる
骨と骨とをつなぐ関節は、「正常な関節」のようなつくりになっています。軟骨はクッション、関節液は潤滑油として、関節を滑らかに動かす役割を果たしています。また、関節液は滑膜(かつまく)でつくられます。
滑膜は、薄い膜と軟らかな組織からできています。これらは滑膜組織とよばれ、関節を内側からくるんでいます。リウマチによる炎症は、この滑膜組織から始まり、しだいに軟骨や骨に影響がおよんでいきます。そのため、病気が滑膜組織にとどまっているうちに治療を始めれば、軟骨や骨が壊れるのを防ぐことも可能です。リウマチの早期発見・早期治療が大切な理由はここにあります。

2)炎症性サイトカインなどで症状が悪化
リウマチの炎症が進行すると、滑膜組織からTNFα、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン6(IL-6)などの炎症性サイトカイン(炎症を起こす物質)や、中性プロテアーゼなどの酵素、活性酸素、一酸化窒素など、炎症を悪化させる物質が次々と生み出されるようになります。このうち、中性プロテアーゼは軟骨を壊すはたらきをします。
また、炎症性サイトカインは、骨を壊す役割をもつ破骨(はこつ)細胞のはたらきも活発化させます。壊れる骨の量が、日々新たにつくられる骨の量を上回ると、骨が壊れていってしまうのです。

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